自分の考えを語るって・・・

知に働けば蔵が建つ (文春文庫)

知に働けば蔵が建つ (文春文庫)

相変わらずのウチダ節。面白い。いつも思うんだけど、何が面白いんだろう。と考えると、著者も言っている通り話の内容がランダムにあちこちに飛ぶ事だと思う。読んでいるといつの間にか全く別の話になっているんだけどそれが面白い。それから自分に全く無い発想がたびたび出てくるところにやっぱり惹かれるんだと思う。例えば、
私は憲法九条と自衛隊の「併存」という「ねじれ」を「歴史上もっともうまく機能した政治的妥協のひとつ」だと考えている
さらに、
自衛隊憲法の不整合を解消したい」と主張する人々に訊ねたい。「憲法自衛隊の存在が不整合であることから得られた利益(これは歴史的事実として証明されている)よりも「整合的であることから得られる利益」(これは非現実にかかわることであるので、予測を語るしかない)が大であるとする論拠を教えて頂きたい。」
これを読んだ時の正直な感想は。やられたあ!その発想は無かったわ。ということです。憲法問題に関してはごちゃごちゃ言う前に自衛隊憲法の不整合を解消するのが先じゃない。と言うのが僕の意見だったのです・・。なんというか、腑に落ちるというか、やっと納得できる考えに出会ったと言うか。そんな嬉しい気持ちです。
私たちは経験的に「他人のふりをして語る」ときの方が「自分の正味の本音だけを選択的に語る」場合よりも口がくるくるよく回るということを知っている。
これを読んだ時の感想は、ギクッ!である。僕は、多分平均よりはいろんな本を読むほうで、いろんな知識を幅広く知っている方だと思う。そしていろんな知識をさも自分の意見のように他人に偉そうに語っている節がある。しかもペラペラペラペラと。周りからは斬新な発想のよく喋る面白い人と思われているかもしれない。でも本当に自分で考えた自分の意見を喋っているかなあと思うと、ギクッとなる。