自分の存在って

単純な脳、複雑な「私」

単純な脳、複雑な「私」

これは面白い。著者の本は何冊か、というかほとんど読んでるけど一番面白い。
本書は、著者の母校である藤枝東高校での生徒への講義形式で話が進んで行く。面白さの秘訣は、まず著者の講義の進め方が凄い。生徒からの質問や疑問に合わせて適当な話を織り込んで行く。そのコントロールが凄い。それから生徒もまた優秀でいろんな事を知っていて凄い。
内容で言えば、「こころ」が脳みそだけでなく、体全体に散在しているという考え方や、意識と無意識の話。無意識の状態でも確実に目から脳みそへ情報がインプットされているという現実。最新の研究結果をちりばめながら今まで自分では考えた事もないようなことが一杯出てきて、いろいろと考えさせられる。この本を読んでいると、自分の存在っていったいなんなんだろうとか、自分は本当に存在しているのか?だとか怖くなってくる。
ちょうど昨日見た夢で、以前住んでいた部屋がでてきた。驚いたのは、その部屋にあったソファが出てきた事。そのソファは常に本とか服とか物が置かれていて、座る用途としては使われていなかったんだけど、夢の中で昔のままの状態ででてきた。部屋の片隅に単なる物置として服が乗った状態で夢に現れた。家が変わってから十数年経つけどほとんど思い出した事が無かったのに、夢の中にでてきて、確かにこのソファはこんな感じであったと思い出される。やっぱり過去の記憶もしっかりと脳みその中にデータとして残っているんだなあと実感した。
(追記)
そもそも夢で出てきた映像と、起きている時に過去を思い出した映像は自分の頭の中にあったものだから、それが一致するのは当たり前?起きている時の映像が正しいとはいえ無いなあ・・ふうう